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トリハダ代表 野島優一のブログ

21世紀の食のあり方は究極の地産地消かもしれない - ドイツinfarmの取り組みから

昨日はHEAPS主催のトークイベントで通訳をしてきました。昨年の回に続いて今回もとても面白かったのでメモを。

マジで全然知らなかったんですが、ドイツ・ベルリンではすでに冷蔵庫みたいな形状の「農園」が実用化されています。その仕組みを開発したinfarmというスタートアップの人をメインのスピーカーとして招待したイベントでした。もちろん他の国・地域でも似た事例はあると思われますが、そんなことやってる人の話が面白くないわけがないんですよ。すげーんすよ。

infarmの取り組みの細かい話はこちらの記事参照。
http://think-society.heapsmag.com/infarm-urban-farm-networ…/

この水耕栽培の室内用ミニ「農園」、写真2枚目の通り本当にスーパーマーケットの大型冷蔵庫みたいな感じで、縦に層を積み重ねていることからヴァーティカル・ファーム(垂直農法)と呼ばれるそうです。

ベルリンのレストランやらバーやらに既に120基くらい設置されていて、調理するその場で栽培が行われています。テクノロジーを活かした現代版の家庭菜園みたいなものですね。郊外で生産した食物を都市まで運んで、というプロセスがまるごと消えているのです。

そしてそのメリットは計り知れない。。。

・収穫から消費までの距離がゼロになるので鮮度が落ちない。それどころかマックス新鮮(たしかに!)
・輸送が不要なのでその分CO2も削減(たしかに!)
・食べる分だけ収穫するので廃棄も減らしやすい(たしかに!)
・殺虫剤使用ゼロ(おお)
・化学肥料の使用量は75%削減(おおすげー)
・水の使用量は95%削減(マジかよ!!)
・気温、湿度、光の具合などすべて24時間体制でコントロールして味、香り、栄養価を最大化

味や香りについては味見できなかったので実際のところはわかりませんが、「Tim Raue」というベルリンの2つ星レストランが導入済みだそうなので、おそらく超高品質。

それともう1つ面白かったのは、学校にも1ヶ所導入したという話。現代の都市の若者、特にこどもは自分の手で食物を育てる経験はほとんどしないわけですが、その彼らにゼロから食物を育て、それを自分たちで食べる機会を提供できる。いまでも植木鉢でいろいろ育てている学校はあるのだと思いますが、それすら難しいような都市部の狭い学校なんかにはもってこいかもですね。

考えてみれば近代以前は地産地消が当たり前というか、食物は栽培したその地域で食べていたんだと思います。それが近代になって大型の農園ができて、都市には郊外から食物を運ぶようになった。都市生活は便利な一方で、食物はどうしても鮮度が落ちたものを消費していた。それが21世紀になって、技術の力で再び地産地消に回帰した、みたいな話かなと思いました。なんなら昔より理想的な形で。

(本当は他にも色々面白い話あったんですが書ききれないのでHEAPSのレポート記事に譲ります)

HEAPSのイベントはいつもトピックに関心の高い人が参加してますが、今回はトピックど真ん中の活動を既にしている方が多数参加されていたので、熱がすごかったです。質問でいきなり「ウチも水耕栽培のスタートアップなんですが」とか「昆虫食で起業して来年東南アジアに進出考えてます」とかそんなレベルで本当に驚きました。あと通訳中に目が合ったお客さんがめっちゃ頷きながら聞いてくれてて嬉しいけどビビったりw。質問も全然時間内に終わらない、交流会でもスピーカーのOsnatさんは大忙し。そしてそのやりとりをすべて真横で聞かせてもらえた僕が一番勉強になったかもと思ったりしています。役得。

通訳は今回もノーミスとはいきませんでしたが、関係者の方には好評を頂きました。通訳中は脳がフル回転なので終わるといつもぐったりするんですが、だいぶ頭が慣れてきたのか、今回はそうでもなかった。オファーあればお待ちしておりますw。

機会を頂いたHEAPSのみなさんありがとうございます!