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トリハダ代表 野島優一のブログ

好きではない言葉3「グロースハック」

2013年の上記著作が出たころからよく目にするようになった「グロースハック」という言葉が好きではありません。そもそも最近見ることが減ったということは下火になってるのですかね。

言葉としてすごく曖昧というか、結局「事業・サービスを急成長させる/利用者を急増させる人」のことを言っているので、それってどの仕事にも当てはまるじゃんというか。

僕は生意気にも背伸びをして下記原著を読んでみたのですが、そもそもこういうタイトルなのです。

www.amazon.co.jp

「Growth Hacker Marketing」とあるのでまずマーケティングの一つ、あるいはそれに近い仕事であることがわかります。さらに副題を訳すと「PRマーケティング、そして広告の未来についての読本」とあります。マーケティングやPRの新しい手法、みたいなことだと言えます。実際に内容もそうでした。

(誤解のないように書いておくと内容は面白かったです。ネットやSNSをふんだんに駆使して、無駄なコストをかけない効率的なマーケティング手法についてとても具体的に書かれていてよく理解できます。ただし高い技術を要する話ではないので2017年現在ではどれも当たり前のような話になっているかもしれません。当時は勉強になりました)

マーケティングの手法の話なのにそれを「グロースハッカー募集!」みたいに明確な職種として取り扱うのには違和感がありますね。ウェブマーケティングとかソーシャルメディアマーケティングって言った方がわかりやすい。流行り言葉に乗っかっている感が出るのもイケてない。

一番違和感があるのは冒頭に書いた点です。結局は事業なりサービスなりを急成長させること、あるいは成長を加速させることを指す言葉なので、マーケティングに近いのはもちろんですが、突き詰めればそれって別に営業でも開発でも人事でも経営でも、どの仕事をやっててもできるはずのことなんですよね。みんな元々グロースハッカーじゃん。と思うのです。

それがなぜ独立した一つの職種として扱われるのか…。僕の感覚地ですが、言葉としてなんとなくカッコよくて流行ってるから使ってるだけで、その意味について深く考えていない人が多そうです。

「グロースハッカー募集!」という求人はさらに違和感があります。まずその具体的な意味合いについて検討されていない感がある。それ、マーケターって言っちゃいけないんだっけ?と思う。そして、自分たちがまだ実際に見たこともない「事業を急成長させてくれるなんかすごい人」がどこかにいるという幻想を持っているような印象を受けます。けど、ホントにそんなスーパーマンみたいな人いるの?と思う。さらには、そういう人を募集しているということは、「自分たちには事業を成長させる力がない」ことを認めてしまっている可能性もある。他力本願すぎないか、と思う。

 

偉そうに書いてしまいましたが、グロースハック/グロースハッカーという言葉についてもっと明確な意味や必要性がある、という意見があればぜひ知りたいです。というか、これだけ言葉として広まっているのだから僕もむしろそうなんじゃないかと信じている部分もあるし、気にしてはいるのですが、なかなかそういう情報に行き着かず…。