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夢は大きく歩みは手堅く

トリハダ代表 野島優一のブログ

アートに関心を持ったきっかけ

別にもともと絵を描いたり何かを作ったりするのが好きというわけでもなく、親族に芸術の素養がある人がいたわけでもなかったのですが、アートに強く関心を持つきっかけになったのは大学2年の時の経験です。

 

2年の終わりの春休みをまるまる使って、イギリス・スコットランドに語学留学に行きました。その時にロンドンとベルリンを数日ずつ旅行したのですが、そこで目にしたものがあまりにも強烈で、そこからアート、特に現代アートに関心を持つようになりました。

 

ロンドンでは、それまでギャラリーはおろか美術館にすらあまり行ったことがなかったのに、なぜか1泊2日で市内の美術館とギャラリーをひたすらまわるコースを組んでいました。というか当時は美術館とギャラリーの区別さえ付いていなかったはず…(注: スーパー簡単に説明すると、美術館は作品を保管するための場所、ギャラリーは作品を売るための場所という違いがあります。展示はどちらもやりますね)。なのになんであんなコースを組んだのかは今でも謎です。もしかしたら海外旅行 = 美術館巡りみたいなイメージがあったのかもしれませんがもう6年も前(と書きながら今にも転げ落ちそうな衝撃)のことなのであまり覚えていません。

 

でその時に見て強烈なインパクトを受けた作品が2つあります。どちらもテートモダンというロンドンの代表的な近現代美術館で見た立体作品でした。

 

作品1: 壁際に色とりどりの洗濯物のような布切れが高く積まれていて、そこにミロのヴィーナスのような古代ギリシャ系の白い石膏女性像が頭から突っ込んでいる作品

 

(画像見つからず)

 

作品2: スーツを着た男性の左腕が、ツーンとつま先まで伸びた状態で、やや上向きに壁から3本出ている作品

 

http://blog.art21.org/wp-content/uploads/2010/02/Cattelan_Ave-Maria-e1266602031488.jpg

画像見つかったので載せてみました。調べたらMaurizio Cattelanというイタリア人の作品だそうです。

Maurizio Cattelan, "Ave Maria," 2007. Courtesy of Danielle and David Ganek, © Maurizio Cattelan. Photo: Attilio Maranzano. | ART21 Magazine

 

ということでハッキリ言って、普通に見たらどっちも意味不明の作品なんです。僕も見た瞬間は頭の中に大きなクエスチョンマークが浮かびました。でも次の瞬間、一旦停止した思考回路が動き出して、「ん、ちょっと待て、なんかこれ面白いぞ」と思い始めたのです。

 

これがなんで面白いのかと言われると説明はできません。わけがわからないけどなんか面白いんです。もうちょっと見ていたくなるし、記憶の中に強烈に残るんです。わけがわからないけどどこか面白いという感覚は今でもすごく大事にしていますが、たしか初めて感じたのはこの時だったような気がします。

 

強いてもう少し感想を書けば、1つ目の作品の方はもう笑っちゃう感じです。なんだこれと。これ作ったヤツはアホなんちゃうかと。実際、近くにいた他のお客さんはクスクス笑っていましたし、その感覚もよくわかりました。

 

ロンドンではもう1つ、別のギャラリーで観た作品も印象に残っています。広い公園の中にあるギャラリーでした。

 

それは手術室を再現した空間作品でした。真ん中に手術台があって、周りに色々な器具とかアームがあって、たしかレントゲン写真を貼るパネルみたいなのもあったかもしれません。マジでこれも意味不明でした。「は? これってアートなの? どゆこと?」って感じでした。

 

これは先に紹介した2作品とは違い、作品として好きという感じとはまた違った印象が残っています。1点は、「あー、現代アートってこういうのもアリなんだ。こういうのが現代アートなんだ」みたいなことを感じさせてくれたことです。いや、ぶっちゃけこの作品が現代アートの中に位置づけられているのかどうかちゃんと理解したわけでもないし、どういう評価をされているのかも確認していません。でも、こういう一見わけのわからないものでも「アートとして提案する」ことができるんだ、ということを教えてもらったような気がしています。もちろん勝手な解釈ですが、きっとそれでいいんだと思います。

 

もう1点は、インスタレーション(場所や空間全体を作品とするもの)の展示の仕方というか、佇まいみたいなものが思い出されます。この作品は広い公園の中の白っぽい建物の中の展示だったので、すごく静かで、作品の中に含まれる電子機器の「ジーーーーー」っていう低い音だけがかすかに聞こえてくるんですね。冷蔵庫が時々発するあの音を思い出してもらえれば近いと思います。ふーん、こういう展示のしかたがあるんだなー、今まで体験したことなかったな、と思ったのでした。

 

続いてロンドンを離れてベルリンの記憶をたどります。そこは街じゅうが壁画で溢れる、オシャレでカッコよくて不思議なところでした。

 

こちらのアルバムをご覧頂くとよくわかりますが、あるエリアは立ち並ぶビルの壁にことごとく巨大な壁画が描かれていたりします。そのスケール感は圧倒的で、見つけるたびに口を開けてぼーっと眺めてしまうほど。迫力あったなぁ。

 

それから、グラフィティアートも数えきれないくらいありました。それなりに大きい壁にでっかく描かれているものもあれば、ゴミ箱、標識(!)、バス停の時刻表(!!)、墓地の壁(!!!)にまであったりしました。さすがに標識とか時刻表はただの落書き感もありましたが、とにかく街中のあらゆるスペースに何か描かれているような感じです。

 

あとは青空の巨大共同アトリエみたいなところでいろんな人が変なものを作っていたりとか、裏路地を歩いているとクッキーのかわいい自販機があったり、突然謎のオブジェが登場したりというカオスっぷり。ついでに言うとマーケットも不思議なものがたくさんあったし、変わった服屋とか雑貨屋もありました。

 

そういえばベルリンの壁の一部が残されていて、そこにもたくさんの絵が書かれていましたが、散策中に見つけたものたちの方がよっぽど面白かったです。街中にこんなにアートが溢れている都市もあるんだな、東京にはこういうエリアってないな、と思ったのでした。

 

 

ロンドンで初めて現代アートの面白さを、ベルリンではアート溢れる街並みの面白さを知ったのでした。当時は単に新しい世界を知った楽しさで頭がいっぱいでしたが、前者はそれから色々な展示を観に行ってハマっていくきっかけになり、後者は最近になって、日本でアートをもっと身近にするという目的意識につながっています。ひとつのモデルというか。