夢は大きく歩みは手堅く

トリハダ代表 野島優一のブログ

2016年10月 NY滞在での気づきのまとめ

NYはアートに関するすべてのスケールが圧倒的に大きい。日本とは比べ物にならない!

    - まず美術館が大きい、そして数が多い。
      - METの広さは壮大で、NYのど真ん中にあるとは信じられない。どの展示スペースも広く天井も高い。その分作品も大きい。
    - 次にギャラリーが大きい。天井もとても高い。そして数が異常なほど多い
      - ギャラリーが多いのはChelsea、Lower East Side、Upper Eastなどのエリア。BushwickやWilliamsburgにもあるがスタジオが中心。

        - 最も多いのはChelsea。"ここだけで500軒ものギャラリーがある"とも言われ、歩けばいくらでも見つかる。もちろんすべてコマーシャルギャラリー。全フロアにギャラリーの入っているビルもある。もと倉庫街。
        - 次に多いのはLower East Side。オシャレな飲食店が多い中にギャラリーが散在する。Chinatownと接しており、中国語と英語の入り交じる看板の商店も多いエリア。15年前にはギャラリーはほとんどなかったが近年急増中

        - Upper Eastにもたくさんギャラリーがある。このエリアは高級マンションや衣服店などが並ぶこともあり、ギャラリーもやや敷居が高いところが多い印象。アポイントのみだったり、入口に鍵がかかっていたりする。

      - どのエリアのギャラリーもスペースがとても広い。日本のレンタルギャラリーやコマーシャルギャラリーの軽く数倍はあり、天井も倍近く高い。Gagosianのように美術館並みの広さを誇るギャラリーもある
    - そして作品が大きい。また発想も自由で斬新。日本の作品が小粒に見えてしかたない

      - 日本でよく見るようなA3サイズくらいの作品はほとんどなく、どれもメートル級。壁いっぱいのサイズの作品もたくさんあった。大きい分、見たときのインパクトも強い。
      - 大きな作品だからか、発色も強くはっきりしている
      - 発想が自由で斬新。これはNYの風土が大きく影響していると思う。日本と比べてあらゆるもののサイズが大きく、多様な人々や文化が常に交わり、細かいことや他人のことは気にせずに自分のやりたいことを追求する考え方が強い風土だから、作品の発想も自由で独特なものになるのだろう
      - 日本のようにすべてが細かく、整理されていて、他人に気を使い、出る杭が打たれる風土の中では、NYのギャラリーに並ぶような作品は生まれえない
    - アートフェアの数や規模も日本とはケタ違い
      - 伝統的にはArmoryが最大で評価も高かったが、最近NYに進出したFriezeが作品や出店者のセンスの良さで急激に評価を上げている。規模ではまだArmoryの方が上だが、今後はより競争が激しくなる様子
      - Governors Island Art Fairも非常に多くの興味深い作家が展示していた。
    - 作品が大きいからでもあるが、値段も高い。日本では考えられないレベル
    - NYではアートが明確にビジネスとして成り立っている。市場が大きく、お金が流れるからこそ、そこで使われるお金も多い。だからスケールが大きくなる
      - ギャラリストも完全なビジネスマンであることが多い
      - 作家も営業マインドが強い人が多い

      - ただし近年は家賃の高騰で廃業や移転を迫られるギャラリーも多い
 
NYの方が必ずしも日本より良い環境かと言うと必ずしもそうではなく、相違点と共通点が両方ある。ただしNYの方がチャンスが多いことは事実であり重要

    - NYでは日本よりアートが身近な分、作品を買う人も多い。つまり作家にとってはチャンスが多い。しかし、だからこそ作家も多くて競争が激しい。日本もNYもアートで生活できている作家の割合は1割くらい
      - NYでは日本よりアートが身近で、作品に触れる人が多いのは間違いない。作品を見る人も買う人も必ずしも富裕層だけではなく、一般人も買って家に飾る文化はある。
        - 美術館の敷居が低く誰でも来る。無料の曜日や時間帯も設定されている。学校の生徒が先生と一緒に作品の前に座ってディスカッションしたりもしている!
        - ギャラリー街も「行けば何かやってる」と気軽に来る人が多い。犬の散歩しながら見に来る人もいる。日本ではギャラリーがマイナーで、場所を知っている一部の人しか来ないが、この点はかなり違う
        - 飲食店や美容室も必ずと言っていいほど絵や写真が飾ってある。1軒あたりの点数も多い。作家が売り込んで飾ってもらうケースも多い
        - グラフィティやミューラルアートも街中にある。少し歩けば必ず何かある
      - NYの方が作品が多く売れることも事実。ただしそれは作品に触れる人の絶対数が多いからであり、作品を見た人のうち買う人の比率は日本もNYも変わらない
        - 結局"見た人の0.1%"しか買わない
        - → ということは、日本でも作品に触れる人の数を増やせば、売れる作品の数も増えるはず!
      - 作品が多く売れるので作家も多くなり、競争も激しい。
        - 世界中から続々と作家や関係者が集まっているのは事実。"年間2,000人のアーティストが生まれる"とも言われる
          - 日本からも毎年たくさんの作家がやってくる。長く活動している人もたくさんいる
          - 日本よりも現代アートが盛んと言われる韓国からもたくさん作家が来ており、活躍している人の数は日本人よりも多い様子。当然ながらレベルも高かった。
        - しかしその分競争も激しい。結局日本でもNYでも"9割の作家は食えていない"
    - ギャラリーの数はNYの方が圧倒的に多いが、ギャラリー間の競争も激しく、経営が楽なわけではない。どんどんできては潰れていく
    - 日本でも美術品にお金を使う人はいるが、NYとはその対象が異なる
      - NYでは"新しいもの"や"これから価値がついてくるもの"が評価されやすい。だから現代アートが売れる?
      - 日本は既に"価値が確立されたもの"が評価されやすい。だから骨董品やブランド品が売れる。
    - NYでもアート業界はお高くとまっており("snobby")、その雰囲気は日本と変わらない。しかしNYは一般人がそれに気圧されず、自分の興味に従って行動するので、結果として市場が大きい

      - これは一般人の価値観の違いに起因する文化レベルの大きな問題。美術教育を変えれば少し改善できそうだが、どこまで影響を与えられるだろうか
 
日本で現代アートが生き残るには一般人を取り込むしかない。そのために、しがらみや経験など気にせず、やりたいことをどんどんやるべし!

    - 日本で現代アートが生き残るには一般人を取り込むしかない
      - 日本のアート業界は閉鎖的でお高くとまっているので、普通にやっていても広がらない。
      - 特に今はアートの裾野を拡げることにあきらめムードが漂っている。数年前までは一般人にアートに親しんでもらうような試みが多くあったが、どれも上手くいかずに終わってしまった
      - そうした試みのひとつだが、変な方向に行ってしまったのがワークショップ。地方で子ども向けにやったりしているもの。だが、作品が残されることもなく、アートへの関心にもつながっていない。せめて作品を残すべき。参加費が安いことも重要
    - アート業界での経験の有無は関係ない
      - 海外のキュレーターはアカデミックな出身の人が少なく、デザイナーや建築士など、プレーヤー側の人が多い。必ずしもアート業界の経験があるわけでもない
      - アート業界での経験があることで逆にしがらみが生じ、足かせになることもある
      - 日本で増えているアートレンタルのサービスも、まだどこも成功はしていない。業界人がやったから上手くいくというわけではない
        - アート業界ではない文脈でサービス展開したほうが可能性はあるはず

    - 自分を信じて、やりたいことをどんどんやるべし!

リフレクション

いい言葉だなと思ったので書き留めておきます。

最近出会う方の中に自分にとてもよくしてくれる方が多く、とても感謝しているとともに驚いています。僕はいま会社を辞めて&立ち上げて半年で、まだほとんど何も達成していないし、特殊な能力を持っているわけでもないし、周りの人に与えられるものもほとんどない状態なのですが、それでも自分にすごくよくしてくれる人がいるわけです。

で、もうホントにありがたくて、という話を、その僕によくしてくれている方の一人にしたら、それはリフレクションだよ、と言われました。僕が優しいからその反映だと。こんなこと書くのは自分でも恥ずかしいですが、そう言っていただいたのは事実なのでありがたく受けとめています。受けとめきれないくらいありがたいし恥ずかしいですがなんとか頑張っています。

それで思い出したのが高校1年のときのホームステイの経験でした。初めての海外経験で、10日間アメリカの田舎町に滞在しました。得た教訓として、言葉が通じなくても自分が心を開けば相手も心を開いてくれる、みたいなことを帰国後にクラスで話したのを覚えています。今思い返すとよくその年でそんな大層なことを言っていたなと思いますが、そういえばこれもリフレクションだなと。

結局、自分のオーラが相手のオーラに影響して、めぐりめぐって自分に跳ね返ってくるということですよね。 コミュニケーションは自分から行動しなければいけない、と言い換えることもできると思います。前向きな性格は大事にしていこうと思います。

一方で、こうやって人に褒められた時に調子に乗って驕り(おごり)が出てダメになる人もいるのだろうなと思うので、そこだけは本気で気をつけようと思います。人に褒められて満足してしまうかどうかが人間の成長の可否を分けていきます。

小学校の通知表を見た父親が、保護者コメント欄に、これで驕ることのないように頑張っていってほしい云々と書いていました。当時は意味がわかっていませんでしたが今になって身にしみています。謙虚に生きようということは常々思っていますが改めて思い直しています。

幸い世の中には僕より優秀で実績も残している人がたくさんいるので、そういう情報に触れている限りは驕りようがないなと思っています。自分の道を見つけてぐいぐい進もうと思います。

 

なんで起業したのか

僕がどうして「アート作品のレンタルサービスで起業する」に至ったのか、なんとなくわかっているつもりで人にも説明してきましたが、自分が忘れないためにも整理しておこうと思います。

まずその理由をすごく大まかに分解すると以下の2つになります。

A 日本でアートをもっと身近にしたいという思いが強くなった
B もともと持っていた起業意欲が強くなった

このAとBそれぞれの思いが強くなった理由はこんな感じです。

「A 日本でアートをもっと身近にしたいという思いが強くなった」理由。

A.1 自分がアートを好きだから。自分が感じるアートの魅力をより多くの人に伝えたい、感じてほしいと思ったから。

facebook等のSNSで毎日やっている「1日1アート」という投稿もこの思いからやっている。僕の投稿を見て誰かが少しでも興味を持ってくれたり、新しいアーティストや作品に出会えたり、展示を観に行こうと思ってくれたりしたらとても嬉しいと思って日々投稿している。すごく小さなことだけど自分の記憶の整理にもなるし、しばらく続けてみる予定。

A.2 日本はアートの敷居が高く、元々好きな人や業界関係者以外はその世界に入っていきづらいと思ったから。

さらに分解するとこんな感じ。

・ A.2.1 アートは美術館やギャラリーに行ってオシャレに楽しむもの、みたいなイメージが強いから。

・ A.2.2 アート、特に現代アートはよくわからないもので、ごく一部の人にしかその良さが理解できない、というイメージが強いから。

・A.2.3 アート作品は高額で、一般人には手が出せないことが多いから。

A.3 人間にとって最も価値があるのは、一生心に残る感動であり、アートはその感動を与えてくれるものの1つだと思ったから。

・人間は環境に慣れることができる生き物である。それでもずっと記憶に残るのは深い感動だと思う。死ぬ時に思い出すもの、と言ってもいいかもしれない。

A.4 一生心に残る感動は、音楽や映画、本、食事、旅行などアート以外のものからも得られるが、アートがその中で最も日本で一般人になじみがなく、ポテンシャルがあると思ったから。

 

「B もともと持っていた起業意欲が強くなった」理由。

B.1 自分に自信がついたから。

正確には、リサーチ・インプット能力、業務処理スピード、ビジネス/商売における基本的な思考回路と判断、発想の柔軟性、多くの人が面倒くさくてやりたがらないことをコツコツ淡々とやる力(笑)、などに自信がつき、「これなら会社組織を出てもやっていけるかもしれない」と思ったから。どの能力も具体的な経験を通して自信をつけたが、ある上司が僕に自由に仕事をさせてくれたことが大きい。その人と仕事ができたのは幸運だった。

B.2 既にできあがった事業に手を加える仕事(1→10、10→100)より、ゼロから事業を立ち上げる仕事(0→1)の方が楽しくて、自分に向いていて、かつ社会的にも価値があると思ったから。

起業はまさにゼロイチである。また、これは価値観の問題だが、何においても最初にやった人はすごいと思う。

B.3 上司がいる状態で仕事をするより、上司がいない状態で仕事をした方が、自分のパフォーマンスが上がると思ったから。

これは他人に対して必要以上に気を遣ってしまう自分の性格が原因である。前述上司は僕にとてものびのびと仕事をさせてくれて本当に感謝しているが、それでもなぜか僕が勝手に気を遣ってしまい、そんなことせずにガンガン仕事を進めた方が結果的に上手くいったと思われることが一度ならずあった。自分の考えも大方間違っていなかった。この性格を自覚しながらも直せないということは、上司なしで仕事をした方が、自分のためにも社会のためにも良いと思った。

B.4 自分の仮説を思う存分試したいと思ったから。

これは1つ前の理由とも少し重なる。自分が思うことを思いきりやるには独立した方がやりやすい。会社組織の中でやるとなるとどうしても障害が多い。どんな会社でもそうだと思う。

B.5 ローリスクでの起業が可能になったから。

これは時代によるところが大きい。ウェブサービスであれば超低コストで立ち上げられるし、リーンスタートアップの考え方ならウェブに限らずそうだ。資金が必要になった場合は、以前に比べて調達もしやすくなっている。また、そもそも個人でできることが非常に多くなっているので、まずは1人で事業を立ち上げることも可能であり、人を雇うリスクも負わなくていい。起業における成功確率が上がったかどうかはわからない。が、ハードルが大きく下がり、チャンスが増えた時代だと思うので、この時代に生きていることは幸運だった。

B.6 新しい事業やベンチャー企業はほとんどが失敗しているので、自分が失敗したところで社会にとってはどうってことない、失うものもないと思ったから。

僕が失敗したって世界にはほとんど影響なくて、地球は回るし社会は動いていく。逆に成功したらものすごいことが起こるかもしれない。その意味で起業は本質的にローリスク&ハイリターンだ。

B.7 たとえ失敗しても死ぬわけではないので、やりたいことをやらずに後悔するよりは、やって後悔したほうが良い人生になると思ったから。

自分に言い訳をして生きていく人生は辛い。たぶん。

B.8 数人の起業家と知り合い、刺激を得たと同時に、「自分にもできそう」と思ったから。

3年前くらいから何人かの起業家と知り合って仲良くなった。これはとても幸運だった。教わったことは数え切れないくらいある。昔の友だちでいつの間にか起業していたヤツもちらほら。これも刺激になる。

 

加えて、AとBの両方にかかる理由を1つ挙げておきます。

A.5/B.9 アートの分野には起業家が少ないから。

これは後から気づいたことでもある。今は起業のハードルが下がったため、起業家の数が急増している。中でも盛り上がっているのはITやウェブの分野だが、そこには起業家が多すぎるし、従って優秀な人も多いことになる。自分が起業家として圧倒的に優秀だという自信がない限りはそこで勝負するのは厳しいと思った。でもアートの分野には起業家が少ない、というかそもそもアートに興味のある起業家が少ない。だから、起業家としての競争戦略を考えるとこの分野は自分に適していると思った。どうせやるなら誰もやらないことをやりたいし、その方が、社会における自分の存在意義が大きくなるというか、社会全体を見たときの自分の貢献度が高くなると思った。

 

そして、Aに関しては、具体的な方法として「a アート作品のレンタルという事業形態を選んだ」わけですが、その理由を整理します。

a.1 日常生活の中でアートに触れる機会を作る必要があると思ったから。

美術館やギャラリーにいかなくてもアートに触れられるように、飲食店やオフィスなど様々な場所にアート作品を置き、アートの供給を増やす必要がある。日本人はアートに興味のある人が少ないと言われるが、その原因は供給の少なさにあると思っている。この仮説を検証したい。

a.2 アートを低価格で楽しめる機会を作る必要があると思ったから。

アート作品は通常購入して楽しむものだが、概して価格が高額であり、それがハードルになっている。a.1 のためにも価格を下げる必要がある。レンタルなら月額制で低価格にすることができる。

a.3 シェアリングエコノミーの市場が拡大しているから。

安易かもしれないが、シェアリングエコノミーの波が来ていることは追い風になると思った。

 

さらにAに関する別の視点では、「b 日本を選んだ」ということもあります。アートでビジネスをするなら、もっとアート市場の大きい国はアメリカをはじめとしていくらでもあるし、英語が使える人間としては海外で働くことも不可能ではありません。その上で日本を選んだ理由を整理します。

b.1 住んだこともない国でいきなり起業するのは、成功確率がとても低いと思ったから。

そもそもアートという未経験の分野で起業するので、さらに土地まで未経験のところに飛び込むのは、さすがに無謀に思えた。

b.2 日本はアートの市場が小さいが、だからこそそれを拡げる仕事には価値があると思ったから。

もともと市場が大きいところよりは、まだ市場が小さいところで事業を起こした方が、市場に対するインパクトも大きいし、社会にとって価値のあることだと思った。

だいたいこんなところです。

1つ付け加えると、このアート作品のレンタルサービスは、カナダにあるフォーシーズンズホテルがやっていた「レストラン内ギャラリー」から、最初の着想を得ています。その取り組みはレンタルではなく展示と販売のみ。若手の現代アーティストの作品を店内にインテリアとして展示しておき、来店したお客さんは気に入った作品があれば買うことができる、というものでした。同ホテルチェーンの創業者の本に出てきた話で、現在はやっていないようでしたが、なるほど、面白いアイデアだな、と思ったのをよく覚えています。

 

いま読み返すと、考えが変わりつつある部分もやはりあります。節々で振り返って原点に立ち返るのにこの記事を使おう。

アート関連の情報収集で見ているメディア

について、これもある友人に聞かれたので書いておきます。

今更ですがブログ、というかネットは便利ですね。1度書いておけば誰でも何回でも読める。会って話すのより少し労力かかりますがより多くの人に伝わる、しかも時には予期せぬ人が勝手に読んでくれていたりするので、コスパが良いですね。

で実はアートに関する情報収集は僕も悩んでいて、これさえ見ておけばOKみたいなメディアは存在しないと思っています。情報があちこちに散乱しています。その理由はたぶん

・そもそもアートの範囲が広がっているというか、アートと他の何かを掛け合わせたイベントや作品が増えていて、「アート」と一言に括るのが難しくなっている

・個人個人の関心が多様化しているのでマスなメディアが作りにくい

・ウェブメディアの数が増えすぎている

・マニアックなイベントも多いからメディアが拾いきれていない

・アート好きの間ではクチコミでも情報が入ってくるのでメディアに頼る必要がない

といったところではないかと思います。逆に僕の方が、みんながどんなメディアで情報収集しているのか知りたいくらいです汗。

では本題のメディア紹介です。読んでいる方、ご自身オススメのメディアあればぜひご紹介いただけると、他の読者の役に立つと思うのでよろしくです。

僕がよく見ているもの

1. CINRA.net

www.cinra.net

「シンラ」と読みます。アートに限らずカルチャー全般を扱うサイトです。音楽や映画の話題も多くて個人的には重宝しています。唯一欠かさずメルマガをチェックしているメディアかもしれません。時々あるロングインタビューも読み応えあって好きです。

2. bitecho

bitecho.me

美術系の歴史ある雑誌「美術手帖」が運営するサイトです。といってもそんなにカタい印象はないです。アート以外のトピックもありますがあくまでアート中心。

 

3. KAI-YOU.net

kai-you.net

「カイユウ」と読みます。CINRAよりもキワドい、ややマニアックな情報が多めです。けどカバー範囲は同じように広いです。

4. ミューぽん

ミューぽん Mupon: 東京の美術館割引アプリ | Tokyo Art Beat

これは割引アプリなんですが、

・今開催中の展覧会が一覧で見られて

・どの展覧会が今日開いていてどれが休館日なのか一目でわかって

・もうすぐ終わっちゃう展覧会はその日付まで教えてくれる

という、メディアとしてもかなり使えるアプリなのでオススメです。「今日、今から見に行ける展示は何かないかなー」みたいなシーンにピッタリです。有料ですが、年に4つか5つくらいの展示に行けば元がとれます。友達も1人まで割引、なんてのもあります。

 

僕は見ていないけど情報がたくさん載っているもの

5. ART iT

http://www.art-it.asia/top

情報もレポートも充実しているのですが、その情報を受け取る場所が充実していないので見ていません。facebookでも発信してないしメルマガもない…。コンテンツはあるのにもったいないですね。

6. artscape

artscape.jp

ここは情報量多いのですが、サイトが見づらいのと、カバー範囲が広すぎて自分が興味ない展示の情報もたくさんあるのとで見ていません。でも展覧会のレビューはガッツリ書かれていて貴重な資料になっています。後から調べるのにはいいかも。

7. Tokyo Art Beat

www.tokyoartbeat.com

ここも情報量は抜群なんですがいかんせんサイトが使いにくいので見ていません。名前の通りデザイン系の情報も多いです。カレンダー方式なので、どの展示がいつからいつまでやっている、というのがわかる素晴らしく網羅的なサイトなのですが、とにかく見づらい、使いにくい。具体的に言うとこんな感じです。

・自分の興味分野にそった探し方がしにくい

・各展示の個別ページが見づらい

・「このページを見ている人はこんなページも見ています」的なレコメンドがあまりピンとこない

かと言ってどう改善すればいいのか、いまいち僕もわからなくて恐縮なのですが、少なくともジャンル分けやタグ付けをもっと細かくやって、それを基準に検索できるようにするといいのではと思います。データベースとしては素晴らしいので本当に勿体無いです。ちなみに前述のミューぽんはこのTokyo Art Beatが発行しているようです。

 

8. 美術手帖

www.bijutsu.press

前述のbitechoの母体になっている雑誌です。110年もやっているそうです。真面目なアートの雑誌という印象。ちょっとカタそうなのとちょっと高いのとでまだ手を出していません。でも読まなきゃいけないかなーと思い始めています。

以上メディア紹介でした。あとはfacebooktwitter(主に友人のシェア)、それと少しクチコミとinstagramから情報を仕入れています。もっといい方法がありそうなので日々模索しています。

勝手にオススメするアートスポット@ニューヨーク 2016年10月時点

先日2週間ほどニューヨークに行ってまいりました。主要な美術館とギャラリー街はだいたいまわってきました。その後友人から「自分もNY行くからオススメを教えてほしい」と言われ、せっかくだからとガチでオススメスポットを書き連ねていたら結構な量になり、ついでなのでブログにも載せてみようと思った次第です。

 

注:

・当たり前ですが主観です。現代アート寄りです。

・2016年10月21日(土)〜22日(日)に開催している展示を念頭においています。

誰かの参考になれば幸いです。これをきっかけに面白い作品に出会ったり、アートって面白い! と思ってくれたら超幸いです(もはやそのために生きていると言っても過言ではない)。以下転載。

 

MoMA (2h〜いくらでも)
モネやゴッホの作品は数は確かにいくつもあるので好きならマスト! ただしアホみたいにドデカくて全部回るのには丸2日くらいかかるので注意。今も11個くらいの展示をやってる↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions
のでどれに行くか決めとくと良いです。
モネやゴッホはこの展示。美術の教科書みたいに有名作品がズラズラしてる↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1219
現代アートならこの展示。草間彌生の変な椅子とかあるよ↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1624
あと個人的にめちゃ面白かったオススメはこの2つ↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1650
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1655
それからこれは5分くらいで観れる幻想的で変わった作品↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/1652
俺行ったときはやってなかったけどこれも面白そだねーインテリアがテーマみたい↓
http://www.moma.org/calendar/exhibitions/2714

◎Guggenheim (1h)
個人的には今の展示はあんまり面白くなさそう。James Turrellも2013年の展示だけだったみたい。ただ建物は確かに面白いし、シャガールカンディンスキーが好きならたくさん観れる(保有作品多数)↓
https://www.guggenheim.org/exhibition/guggenheim-collection

◎MAD: Museum of Arts and Design (1h)
ややマイナーな美術館だけど今やってるこれがすごく面白かったのでオススメ。でもよくわからんかったらごめん!↓
http://madmuseum.org/exhibition/coille-hooven
名前の通りデザインとか工芸に寄った展示が多めだから貴社に役立つかも?

◎ChelseaかLower East Sideのギャラリー街
現代アート好きならぜひ美術館だけでなくギャラリーも行ってほしい! 以下2つが有名なギャラリー集中エリアで、道歩けばいくらでもギャラリーがあります。どこも無料で入れるしさっと観れてすぐ次行けるから、30分ブラブラするだけでも何軒も観れます。勝手なオススメ↓

・Chelseaエリア (0.5h〜3h)
ファンキーワンダーランド的な、壁とか天井も使った楽しい展示↓
http://www.lehmannmaupin.com/exhibitions/2016-09-08_osgemeos
本物の絵葉書に重ねて絵を描いたすごく面白い作品↓
http://www.magnanmetz.com/exhibitions/david-opdyke-truthful-hyperbole
これは近くにあるアート系の本屋、かなり面白い↓
https://www.printedmatter.org/

・Lower East Sideエリア (0.5h〜3h)
エロ多めのエキセントリック系↓
http://www.jamesfuentes.com/exhibitions/2016/velvet-rage-flaming-youth-and-the-gift-of-desperation
音と映像の関係を考えさせてくれる作品、面白かったー↓
http://www.lehmannmaupin.com/exhibitions/2016-09-07_alex-prager
ギャラリーと服屋が一緒になったみたいな場所↓
http://www.xyatelier.com/new-events
これも近くにあるカルチャー系の本屋、かなり面白い。女性ドラマーだけとりあげる雑誌とかあった↓
http://bluestockings.com/

◎その他、もし時間が余れば…
・Whitney Museum of American Art (1〜2h)
外観がめちゃ面白いので一見の価値あり!展示は基本的にアメリカの近現代アートなので、ハデな色彩なアメリカっぽい作品がメインです。Chelseaエリアの一番南にあるので、俺は半日かけて北から順にギャラリーをまわっていってココで締めました
http://whitney.org/Exhibitions
・New Museum (1h)
外観が面白い。よく崩れないよなって感じ。展示は今は微妙かも…。Lower East Sideエリアにある
・MET Breuer (0.5〜1h)
建物が変わっているので見る価値はあると思う。けど中は展示内容がピンと来なければ特に…パウル・クレーとか好き?↓
http://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2016/humor-and-fantasy-paul-klee
・MET: Metropolitan Museum (2h〜いくらでも)
近代までの作品ばかりだし古いのばかりなので現代アートファンにはあまり刺さりません。パスしてよいと思う。ただアメリカの凄さとか威厳とかスケールのデカさとかを感じるにはピッタリな、信じられないくらい広い空間。個人的にはむしろ近くのギャラリーのこれオススメ↓
https://www.perrotin.com/exhibitions/daniel_arsham-circa-2345/3006

 

 

60-70年代のアートが世界的に再評価されているらしい

のだそうです。

個人的には、アートとはずれるけどすごく思い当たるところがあって、この時代のものにここ数年ハマっています。

ちょうど60-70年代の、寺山修司横尾忠則が活躍した演劇の周辺の美術に2年くらい前からハマっています。新宿なんかにあった劇場でかなり過激で前衛的な演劇をやっていたようで、これは海外でも評価されて公演もやっていたみたいです。演劇そのものについてはまだ詳しく知らないのですが、面白いのはそのポスター達。演劇の内容が過激なことも相まって、今の時代からすると頭がおかしいのではないかとさえ思ってしまうくらい奇想天外なものが数え切れないくらいあります。渋谷のポスターハリスギャラリーというところがよく展示をやっているので興味ある人は観に行ってみてください。

それから音楽のアナログレコード。CDの登場とともに消え去りつつあった媒体ですが、実はここ数年で人気が再燃しています。日本でも大型レコードショップが新たにできたり、アメリカでは2015年にレコードの売上が過去最高を記録したりと、世界的にブームになっています。おそらくクラブ文化の普及に伴っているのかと。で自分もそれに乗っかった感じですが、実際にレコードで音楽を聴くのはすごく楽しくてハマる一方です。もちろんダウンロード配信やストリーミング配信の手軽さとは真逆で、まずわざわざレコード屋に出向いて好きなレコードを探し当て、持ち帰ってレコードをケースから取り出し、そしてターンテーブルに電源を入れて盤を回して、針を置いてようやく聴けるという、冷静に考えればアホみたいに面倒くさい手順が必要です。そしてレコード屋では商品の検索なんてできないのでインデックスを頼りに1枚ずつめくって探すハメになります(オンラインストアは除く)。AmazoniTunesがなかった時代と全く同じことをしているわけですね。CDと比べてもだいぶ面倒です。曲の頭出しも手探りです。大体30分くらいで片面終わってしまうので時々裏返す必要もあります。でもそのすべてが楽しくて、自分でも驚いているくらいです。たまたま僕の好きな音楽は60-70年代に発売されたレコードが多かったりすることもあり、前述の再評価の対象と重なります。

カメラではフィルムカメラも人気が再燃しているようですね。僕も『フォトグラファーズ・イン・ニューヨーク』(原題『Everybody Street』というニューヨークのストリート写真家のドキュメンタリー映画を観て興味を持ちました。デジカメやスマホで写真を撮るのはすごく手軽で、何枚でも撮れて、撮り直しも加工もできてなんでもありでそれはそれで良いのですが、フィルムカメラは枚数制限があり、撮り直しができない、それどころか現像するまでどう撮れているかわからない始末。加工も素人にはできません。けどその不便さや、自由の効かなさが逆に楽しかったりするのだと思います。

 

レコードとフィルムカメラは必ずしもアートに分類されませんが、文化として広く捉えれば同じ流れにあるような気もします。背景にあるのは、デジタル化が進んだことでアナログへの反動が起こった、あるいはアートに関してはもうあらゆるものがやり尽くされてしまってネタ切れになりつつあり、古いものに新しさを求めるみたいな流れができた、みたいなことでしょうか。

自信満々の人ほど信用できない

今の時代、誰だって不安で当然だと思うのです。

 

世の中の変化のスピードがとんでもなく上がっていて、特にIT業界の技術変化には業界人だってついていくのに必死だったりします。そんなめまぐるしい世の中で世界の動向を正確に予測することはほぼ不可能に近いです。できるとしてもごく大まかな流れを見極めることくらいです。

たとえば世の中がどんどん自動化されるという流れはおそらく間違いないでしょう。工場の流れ作業はどんどんロボットがやるようになっていきます。自動運転車が普及して運転手という職業がなくなる可能性もかなり高いと思います(ただしこれには「自動運転車が事故を起こしたとき、被害者やその遺族はそれがただの事故だと納得できるのか? 結局メーカーや同乗者など人間に責任を追及できないと社会的に受け入れられないのでは?」という倫理的な問題があって予想以上に普及に時間を要するかもしれません)。

逆に予想できなかった流れとしてスマートフォンの普及があります。たった数年で世界の人口の大半が手にするようになったこの電子機器に対し、発売当初あるいはその前からその普及の勢いを予想できた人はほとんどいなかったでしょう。普及を予想していたとしてもそのスピードは予想以上だったはずです。

他にも日本では大手メーカーの凋落が叫ばれて久しいです。SHARPをはじめほんの十年かそこらで世界でのシェアを激しく落としています。

こういう例は挙げればいくらでもあると思うのですが、要するに変化のスピードが速すぎて、将来の世の中をまともに予測するのは相当に難しくなっています。

 

そんな時代に自信満々で生きていける人が僕は信じられません。

 

今自分がやっている仕事が来年あるのか、あるいは5年後にあるのか。僕の時代の就活(5-6年前)では「入社パス」の出るインターンで超有名だったワークスアプリケーションズのCEOがこんな刺激的なタイトルの本を出していますが、

今やっている仕事が5年後も存続できる可能性はかなり低いと思います。まったくなくなることはなくても形態がかなり変わったり、求められるスキルが変わったりと、一筋縄ではいかないはずです。

世の中の動きについて、これはこうなる、あれはああなる、とやたら断言する人もいますが、その自信はどこから来るのか不思議です。僕は自信がないので断言できることは少なくて、たぶんこうなんじゃないかなぁ、くらいの言い方しかできません。それは自分の考えに自信がないというよりは、世の中の変化のスピードを考えたらそのくらいのことしか言えないという論理的な帰結です。未来はもはや誰にとっても不透明です。

勝手な推測ですが、断言できる人は単に情報のインプットが足りていない可能性もあります。世の中の動きについてたくさんの情報を仕入れていればおそらくそういう見解は出てきません。

 

かといって別に悲観的なことばかりではなく、自分の行動で世の中に変化を起こして未来を作り出すこともできます。そしておそらく、世の中が変化しやすい分、自分で変化を起こすということもやりやすくなっているのではないかと思います。

どうせ5年後の世界すらどうなっているかわからないのであれば、自分のやりたいことをやってみた方が得です。うまくいかないことが大半でしょうが、もし万が一うまくいってしまったら自分の人生は超絶楽しくなると思います。